【技術士第一次試験】基礎科目 5群(環境・エネルギー・技術)の勉強方法と対策

基礎科目 5群
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こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。

本記事では技術士第一次試験の基礎科目のうち、5群(環境・エネルギー・技術)に特化して出題内容の解説や勉強方法についてまとめています。

本記事はこんな方におすすめ

・基礎科目 5群の出題内容が知りたい
・5群の勉強方法・対策が知りたい
・5群の目標得点が知りたい

技術士第一次試験を一発合格した筆者が解説します。

目次

5群の出題内容

5群の出題内容

出題分野と問題形式

技術士第一次試験の基礎科目は「科学技術全般にわたる基礎知識」とされています。

その中でも5群は環境・エネルギー・技術に関するものという分野から出題されます。

各群で共通ですが、6問出題され、3問を選択し解答します。

例年、6問中の2問が環境分野2問がエネルギー分野2問が技術分野と決まっています。

環境分野においては、環境保全関連、SDGs、地球温暖化、産業廃棄物に関する問題など、文章問題が出題されます。

エネルギー分野においては、エネルギー情勢、エネルギー消費、再生可能エネルギーなどの知識を問う問題や、CO2排出量の計算問題も出題されます。

技術分野においては、技術史、科学史、知的財産に関する問題が出題されます。

5群は適正科目の出題内容と被る部分もあるため、合わせて勉強をするとよいでしょう。

時事的な内容が多く常識的な問題もありますが、数値や年代などを具体的に覚えておかないと解けない問題もあります

過去問の類似問題が多いため、しっかりと対策をすれば得点を稼げる群です。

過去7年の出題内容

過去7年の5群の出題内容は下記のようになっています。

番号 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度再 令和元年度 平成30年度平成29年度
1気候変動気候変動プラスチックごみ気候変動大気汚染SDGs環境管理
2廃棄物環境保全生物多様性廃棄物処理環境保全環境活動気候変動
3石油情勢エネルギー情勢エネルギー消費標準発熱量エネルギー情勢石油情勢天然ガス
4水素エネルギー供給量エネルギー情勢エネルギー情勢CO2排出量エネルギー利用エネルギー消費
5リスク管理技術史・科学史産業技術の発展技術史・科学史科学と技術技術史・科学史技術発展
6技術史・科学史科学技術基本計画技術史・科学史リスク管理知的財産技術者倫理技術史・科学史
基礎科目 5群 過去7年の出題内容

5群の出題キーワードと解説

出題キーワード

5群の出題キーワードとその解説をまとめます。

環境分野のキーワード

環境分野のキーワードは多岐にわたり、幅広い知識を身に付ける必要があります。

新傾向の問題もゼロではないですが、基本的には過去問の引用や類似問題が多いため、過去問を繰り返し解いてキーワードを頭に叩き込みましょう。

持続可能な開発目標(SDGs)

・「ミレニアム開発目標(MDGs)」の課題を踏まえ、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核となるもの
・途上国に限らず、先進国を含むすべての国に目標が適用される
・MDGsと比べると国内で取り組まなければならない課題が増えている
・SDGsは17のゴール169のターゲットから構成される

気候変動

緩和策:温室効果ガスの排出の抑制を図ること
適応策:既に現れている影響や中長期的に避けられない影響による被害を回避・軽減すること
・遊水効果をもつ湿原の保全・再生や、多様で健全な森林の整備による森林の国土保全機能の維持など、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)生物多様性の保全にも資する
・2011~2020年における世界平均気温は、工業化以前の状態の近似値とされる1850~1900年の値よりも1.09℃高い
・世界全体の温室効果ガス排出量について、2010~2019年の年間平均値は過去のどの10年よりも高かった

大気汚染

・国内では1960~80年代にかけて工場から排出された硫黄酸化物が原因で大気汚染が発生
・その後、大気汚染防止法が制定され、大気環境基準の設定や排出抑制を行い、汚染は大幅に改善された
・1970年代には都市・生活型の大気汚染が問題となり、その原因はディーゼル車から排出される窒素酸化物浮遊粒状物質であり、対策が求められた
・現在も、窒素酸化物や炭化水素が反応して発生する光化学オキシダントの環境基準達成率は低いレベルとなっている。

二国間オフセット・クレジット制度

途上国への優れた低炭素技術等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガスの排出削減・吸収への我が国の貢献度を定量的に評価し、我が国の削減目標の達成に活用する制度

カーボンフットプリント

食品や日用品について、原料から製造、使用、廃棄に至るまでの間に排出される温室効果ガスを二酸化炭素量に換算し「見える化」したもの

ライフサイクルアセスメント

製品の資源の採取から製造、使用、廃棄などのすべての過程を通じて環境影響を評価する手法

グリーン購入

環境負荷ができるだけ少ない商品やサービスを優先的に購入すること

環境会計

企業等が、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られる効果を定量的に伝達する仕組み

環境監査

環境に関する方針の遵守状況を評価し、環境保護に資する目的の組織・管理・整備がいかによく機能しているかを評価すること

プラスチックごみ

・マイクロプラスチックとは5㎜以下の微細なプラスチック類のこと
・海洋プラスチックごみの量は世界で年間800万tと言われ、その発生源は東・東南アジアが上位を占めており、先進国だけでなく開発途上国も含めて解決が必要
・2017年において、日本の廃プラスチックは約900万t、そのうちリサイクルされたのは約250万t、海外でのリサイクルは約6割を占める

生物多様性

・生物多様性条約は1992年にリオデジャネイロでの国連環境開発会議にて署名、翌年発効された
・移入種(特定外来生物)については、必要に応じて国や自治体が防除を行うことを定めている

廃棄物

建設リサイクル法一定規模以上の建設工事を対象としており、すべてが対象ではない
循環型社会形成推進基本法では、廃棄物処理における3Rの優先度を、発生抑制(Reduce)>再利用(Reuse)>再生利用(Recycle)としている。
家電リサイクル法では、一般家庭や事務所から排出された家電製品について、小売業者に消費者からの引き取り及び引き取った廃家電の製造者への引渡しを義務付けている
容器包装リサイクル法は金属、ガラスびん、紙製容器包装、ペットボトル、プラスチック製包装を対象としている

産業廃棄物

事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸など20種類の廃棄物のこと

RDF(ごみ固形化燃料)

可燃性のごみを粉砕・乾燥したのちに生石灰を混合し、圧縮・固化したもの

E-waste(Electronic waste)

電気製品・電子部品の廃棄物のこと。電気電子機器廃棄物と呼ばれる。

バイオマス

再生可能な生物由来の有機性資源のうち、化石燃料資源を除いたもの

硫酸ピッチ

強酸性で油分を有する泥状の廃棄物

エネルギー分野のキーワード

エネルギー分野は文章問題だけでなく、数字や大小を問う問題も出題されます。キーワードと一緒に数字もおおよそで暗記が必要です。

エネルギー消費

・日本のエネルギー消費は2005年度をピークに減少傾向にある。2011年度以降は東日本大震災による節電意識の高まりなどによりさらに減少が進んだ
・1単位のGDPを産出するために必要な一次エネルギー消費量の推移では、日本は世界平均を大きく下回る
・自動車の燃費改善やハイブリット自動車のシェア増加により、運輸部門のエネルギー消費は2002年度をピークに減少傾向に転じた

家庭のエネルギー消費

・全国総和の年間エネルギー量を用途別に見ると、暖房のエネルギー消費量は冷房のエネルギー消費量の約10倍である
・全国総和の年間エネルギー量を用途別に見ると、約3割給湯用のエネルギーである
・全国総和の年間エネルギー量をエネルギー種別に見ると約5割が電気である

エネルギー情勢

・2010年度時点で、日本の電源別発電電力量のうち、原子力の占める割合は30%程度であった
・しかし、福島第一原発事故などの影響で、原子力に代わり天然ガスの利用が増加
・現代の天然ガス火力発電はガスタービン技術を取り入れたコンバインドサイクルの実用化などにより発電効率が高い
・米国からシェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の輸入を始めている

電源構成(2017年度)

再生可能エネルギー:16%
原子力:3%
LNG:40%
石炭:32%
石油:9%

電源構成(2030年度)(経産省の「長期エネルギー需給見通し」より)

再生可能エネルギー:22~24%
原子力:20~22%
LNG:27%
石炭:26%
石油:3%

石油情勢

・日本で消費される原油はほとんどが輸入に頼っている
・輸入原油の中東地域への依存度は2019年度で約90%
・その大半は同地域における地政学的リスクが大きいホルムズ海峡を経由して運ばれている
・最大の輸入相手国はサウジアラビア
・石油及び石油製品の輸入金額が、日本の総輸入金額に占める割合は2019年度には約12%である

一次エネルギー供給量

・各国の1人当たりの一次エネルギー供給量を石油換算トンで表すと、世界平均の1人当たりの供給量は1.9トンである。
中国の1人当たり供給量は世界平均をやや上回り、2.3トン
アメリカ及びカナダの1人当たり供給量は、世界平均の3倍超えの6トン以上
韓国及びロシアの1人当たり供給量は、世界平均の約2.5倍の5~6トン
ドイツ及び日本の1人当たり供給量は、世界平均の約2倍の3~4トン

スマートグリッド

・電力の利用効率を高めたり、需給バランスをとったりして、電力を安定供給するための新しい電力送配電網のこと
・再生可能エネルギーを大量導入するために不可欠なインフラの一つ

スマートコミュニティ

ICTや蓄電池などを活用したエネルギーマネジメントシステムを通じて、分散型エネルギーシステムにおけるエネルギー需給を総合的に管理・制御する社会システム

スマートハウス

省エネ家電や太陽光発電、燃料電池、蓄電池などのエネルギー危機を組み合わせて利用する家のこと

スマートメーター

電力使用量をデジタルで計測する電力量計のこと

技術史、科学史、知的財産分野のキーワード

技術史・科学史については、知識がないと解けません。時間に余裕がある場合は覚えましょう。

※技術史・科学史についてはこちらを参照

知的財産については適正科目でも同じような問題が出題されますので、しっかりと暗記、対策をしましょう。

ここでは知的財産や科学技術分野に関するキーワードを整理します。

特許法

特許法は、発明の保護と利用を図ることで、発明を奨励し、産業の発達に寄与することを目的とした法律
知的財産基本法は、知的財産の創造、保護及び活用に関し、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定めたもの
・知的財産には、商標、商号、その他事業活動に用いられる商品又は薬務を表示するものも含まれる
発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう

科学技術とリスクの関わり

リスク評価は、リスクの大きさを化学的に評価する作業であり、その結果とともに技術的可能性や費用対効果などを考慮してリスク管理を行う
リスクコミュニケーションとは、リスクに関する、個人、機関、集団間での情報及び意見の相互交換である
リスクコミュニケーションでは、科学的に評価されたリスクと人が認識するリスクの間に往々にして隔たりがあることを前提としている
レギュラトリーサイエンスは、科学技術の成果を支える信頼性と波及効果を予測及び評価し、リスクに対して化学的な根拠を与えるものである
レギュラトリーサイエンスは、リスク管理に関わる法や規制の社会的合意の形成を支援することを目的としており、科学技術と社会の調和を実現するうえで重要である

5群の勉強方法と対策

勉強方法と対策

ここでは、5群の具体的な勉強方法と対策について説明していきます。

とにかく過去問を解きまくる!

5群は文章問題が主になっています。最も不適切なものを選ぶ問題、正誤の組み合わせを問う問題、文章穴埋め問題などの形式で出題されますが、共通して「知っているか知らないか」によって正答率が左右します

得点への近道は、とにかく過去問をこなすことです。

過去問を繰り返し解きながら、前述の「キーワード」を出題文と結びつける癖をつけましょう。

7年分の過去問を3周こなせば、満点も狙えるようになってくるかと思います。

技術史・科学史は捨ててもよい

技術史と科学史に関する問題は年代順に並べる形式の問題が主となりますが、知識がない限りは解けませんので、よほど自信がある場合を除いてこの問題は避けるのがベターです。

また、過去問を中心に勉強をしたとしても、初見問題が出題される年も多く、暗記に時間を費やしても無駄に終わってしまう可能性もあります。

時間に余裕がある方以外は、技術史・科学史に関する問題は捨てるというのも戦略の一つです。

私もあえてこの分野は対策をしませんでした。

直近7年ほどで出題された技術史・科学史の年表と人物、キーワードをまとめましたので、試験対策にご活用下さい。

年代人物功績
1609年ガリレオ・ガリレイ天体望遠鏡の製作と天体観測
1656年クリスティアーン・ホイヘンス振り子時計の発明
1705年エドモンド・ハレーハレー彗星の発見
1752年ベンジャミン・フランクリン雷の電気的性質の証明
1769年ジェームズ・ワット蒸気機関の発明
1771年リチャード・アークライト水力紡績機の発明
1796年エドワード・ジェンナー種痘法の開発
1800年アレッサンドロ・ボルタ電堆(化学電池)による定常電流の実現
1858年チャールズ・ダーウィン、アルフレッド・ラッセル・ウォレス進化の自然選択説の発表
1865年グレゴール・ヨハン・メンデル遺伝の法則性の発見
1869年ドミトリ・メンデレーエフ元素の周期律の発表
1876年アレクサンダー・グラハム・ベル電話の発明
1877年ハインリッヒ・R・ヘルツ電磁波の存在の実験的な確認
1895年ヴィルヘルム・レントゲンX線の発見
1898年キュリー夫妻ラジウム及びポロニウムの発見
1906年ド・フォレスト三極真空管の発明
1906年フリッツ・ハーバーアンモニアの工業的合成の基礎の確立
1915年アルベルト・アインシュタイン一般相対性理論の発表
1928年アレクサンダー・フレミングリゾチームとペニシリンの発見
1932年アーネスト・ローレンスサイクロトロンの発明
1938年オットー・ハーン原子核分裂の版権
1947年ブラッテン、バーディーン、ショックレートランジスタの発明
1952年福井謙一フロンティア軌道理論の発表
技術史・科学史(人物と功績)

アプリを活用しよう

5群は暗記系の問題が多いため、スマホアプリの活用をおすすめします。

私は下記のアプリを活用していました。

「技術士第一次試験の問題集アプリ」

近年の過去問は搭載されていないようで少し古い問題が中心ですが、近年においても少し古い過去問からも引用がされています。

繰り返せば十分に試験対策になります。

トイレや電車や寝る前など、すきま時間に最適です

5群の目標得点

5群の目標得点

5群は過去問の引用が多く、他の群と比べて比較的得点が稼ぎやすい分野です。

5群の目標得点

・環境分野、エネルギー分野で1点

・技術分野(特に知的財産やリスク管理の問題)で1点

→ 2得点/3問 を目標とする。

まとめ

本記事では技術士第一次試験 基礎科目のうち、5群(環境・エネルギー・技術)に特化して解説をしました。

5群は過去問を中心に対策をすれば得点が稼げる分野になります。

過去問を繰り返しこなし、合格を目指しましょう。

基礎科目 5群

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