こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。
本記事では技術士第一次試験の基礎科目のうち、1群(設計・計画に関するもの)に特化して、出題内容の解説や勉強方法についてまとめています。
・基礎科目 1群の出題内容が知りたい
・1群の勉強方法と対策が知りたい
・1群の目標得点が知りたい
技術士第一次試験に一発合格した筆者(@yi_ki411) が解説します。
1群の出題内容
まずは1群の出題内容を見てみましょう。
出題分野と問題形式
技術士第一次試験の基礎科目は「科学技術全般にわたる基礎知識」とされています。
その中でも1群は「設計・計画に関するもの」という分野から出題されます。
過去問の引用・類似問題や簡単な計算問題が出題される一方、難解な問題も含まれます。
各群で共通ですが、6問出題され、3問を選択し解答します。
過去7年の出題内容
過去7年の1群の出題内容は下記のようになっています。
令和4年度は新傾向問題も含まれ、難化しました。
番号 | 令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年度再 | 令和元年度 | 平成30年度 | 平成29年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 材料力学 | ユニバーサルデザイン | ユニバーサル デザイン | 微分導関数 | 最適化問題 | 信頼度 | 平均処理時間 |
2 | 確率分布 | 信頼度 | 標準偏差 | 最適化手法 | 在庫管理 | アローダイアグラム | 安全係数 |
3 | 標準偏差 | PDCA | 材料力学 | FTA | 製図法 | ユニバーサルデザイン | 階層分析法 |
4 | 最適化問題 | 稼働率 | 最適化問題 | 工程管理 | 材料力学 | 最適化問題 | 材料力学 |
5 | 材料力学 | 材料力学 | 製図法 | 最適化問題 | 平均処理時間 | 最適化問題 | 製図法 |
6 | 最適化問題 | 製図法 | 信頼度 | 設備保全 | 近似式 | 製造物責任法 | 破壊確率 |
表のうち青字で示したものは計算問題です。毎年2~3問出題されています。
1群の出題キーワード
1群の出題内容をキーワードから分析します。
文章穴埋め問題や正誤問題については「暗記系キーワード」、計算問題については「計算問題キーワード」として分類します。
基礎科目は7年分の過去問を繰り返しこなせば合格基準点に十分達します。
よって、以下のキーワードは7年分の過去問から抽出しています。
暗記系キーワード
暗記系の出題キーワードにはセットで覚えるべき「子キーワード」があります。
「子キーワード」が穴埋め問題における解答になることもあり、関連付けて暗記することで正答に繋がります。
ただし、「子キーワード」そのものの意味や概念までを理解していないと解けない問題もあるため、「子キーワード」をそのまま覚えるだけでは正答できない問題もあります。(例:材料力学や製図法など)
そのような問題でも、過去問を2周以上繰り返せば自然と覚えるかと思います。
ノーマライゼーション
高齢者や障がい者の生活条件をノーマルに、デンマーク
ユニバーサルデザイン
ロナルド・メイス、すべての人に配慮、7つの原則
バリアフリー
高齢者や障がい者のみを対象
LCA(ライフサイクルアセスメント)
製品、ライフサイクル、環境負荷の評価手法
LCC(ライフサイクルコスト)
製品、トータル、費用
PL法(製造物責任法)
欠陥、安全性、過失証明、欠陥証明
設備保全
予防保全、事後保全、時間計画、定期保全、経時保全
製図法
第三角法、第一角法
数理計画法
線形計画法、シンプレックス法、双対問題、トレードオフ、パレート解
製図、製作図
公差、幾何公差、寸法公差、限界ゲージ、はめあい方式
抜取検査
消費者危険、生産者危険、なみ検査、きつい検査
計算問題キーワード
このキーワードは直接正答に繋がるものではなく、「子キーワード」にあたるものはありません。
1群で出題される計算問題は決まった計算方法で解くことができ、何種類かしかありません。
逆に言えば、例年、出題される分野や計算方法がある程度パターン化されています。
そのパターンを計算問題キーワードとして下記のように分類をします。
最適化問題
損益問題、在庫管理、待ち行列 など
信頼度
FTA図、システム信頼性評価
アローダイアグラム
ネットワーク工程、クリティカルパス
1群の勉強方法と対策
冒頭に述べたように、1群は過去問の引用・類似問題や簡単な計算問題が出題される一方、難解な問題も出題されます。
ここでは、具体的な勉強方法と対策を紹介します。
文章穴埋め問題と正誤問題は過去問で暗記
1群の文章穴埋め問題と正誤問題は過去問から引用された問題が多いです。
よって、7年分の過去問を3周こなせば、類似問題に十分対応できます。
ただし、まったくの初見問題でかつ難解と感じた場合は捨ててもよいかと思います。過去問を3周しているにも関わらず初見で難解な問題というのは、他の多くの受験生も誤答する可能性が高いですし、避けたほうがベターでしょう。
計算問題は得点源(※ただし例外あり)
「計算問題キーワード」で紹介したキーワードに関する計算問題は一見、難しそうなものが多いですが、例年、同じパターンの問題が出題されます。
最適化問題
最適化問題は「数理計画法」の一環です。
数理計画法については文章穴埋め問題や正誤問題も出題されますが、計算問題では主に、下記の3種類が出題されます。
- 損益計算(利益最大化またはコスト最小化)
- 在庫管理
- 待ち行列
損益計算・在庫管理
文章や表に書いてあることを簡易な方程式にすると解きやすくなります。
方程式を組んで、あとは地道に代入していけば正答にたどり着きます。
過去問の例を見てみましょう。
【令和元年度(再試験)1-5】
ある工業製品の安全率をxとする(ただしx≧1)。この製品の期待損失額は、製品に損傷が生じる確率とその際の経済的な損失額の積として求められ、それぞれ損失が生じる確率は1/(1+4x)、経済的な損失は90億円である。一方、この製品を造るための材料やその調達を含む製造コストは、10x億円となる。この場合に製造にかかる総コスト(期待損失額と製造コストの合計)を最小にする安全率xとして、最も適切なものはどれか。
① 1.00 ② 1.25 ③ 1.5 ④ 1.75 ⑤ 2.00
初見の場合は最初に問題文を読んだだけでは理解が難しく、人によっては拒否反応が出る人もいるでしょう。
ですが、文章を落ち着いて読んでみましょう。
文章に書いてあることをそのまま式にすればいいだけです。
問題文を下記のように整理します。
ある工業製品の安全率をxとする(ただしx≧1)。この製品の期待損失額は、製品に損傷が生じる確率とその際の経済的な損失額の積として求められ、それぞれ損失が生じる確率は1/(1+4x)、経済的な損失は90億円である。一方、この製品を造るための材料やその調達を含む製造コストは、10x億円となる。この場合に製造にかかる総コスト(期待損失額と製造コストの合計)を最小にする安全率xとして、最も適切なものはどれか。
「期待損失額」は製品に損傷が生じる確率とその際の経済的な損失額の積
という文章を式にします。
ここで、
製品に損失が生じる確率 → 1/(1+4x)
経済的な損失 → 90億円
と書かれていますので、
期待損失額=1/(1+4x)×90億円
となります。
一方、
製造コストは、10x億円
とあります。
よって、
製造にかかる総コスト(期待損失額と製造コストの合計)は、
1/(1+4x)×90億円 + 10x億円
方程式が組めました。
ここで問題が問うていることを再度確認します。
この問題が求めている解答は総コスト(期待損失額と製造コストの合計)を最小にする安全率xです。
そして、選択肢が5種類用意されています。
① 1.00 ② 1.25 ③ 1.5 ④ 1.75 ⑤ 2.00
あとは方程式にxを代入して、最小になるものを探すだけです。
このように、損益計算や在庫管理問題は落ち着いて文章の内容を整理し、符号に置き換え、方程式を組めさえすれば解ける問題がほとんどです。
まれに、方程式を組んで代入する過程以降が難解な問題もあります。
待ち行列
頻出問題です。
銀行のATMの利用率や処理時間・・・などといった問題が出ています。
この問題では、計算式が文章で示されるので、文章で示された通りに式を解き、解を導くだけです。
この式は例年、表現は変わりますが、必ず問題文に示されますので、わざわざ式を覚える必要はありません。
注意しなければいけないのは時間の単位です。
近年の過去問では「秒」の単位が選択肢になっています。一方、問題文や式に書かれている内容は「時間あたり」であることが多いです。
式を組み立てる際に時間の単位を合わせることにさえ気を付ければ、正答が見つかります。
信頼度(システム信頼度)
超頻出でほぼ毎年1題の出題があります。
解法さえ覚えてしまえば比較的簡単です。
信頼度の計算は「直列」と「並列」がポイントとなります。
下記のシステムが直列です。
このシステムの信頼度Xは、
X=0.80×0.80=0.64
と計算できます。
つまり、直列の信頼度計算はかけ算をするだけです。
システムが直列につながる数が多いほど、信頼度がどんどん下がっていくことになります。
下記のシステムが並列です。
このシステムの信頼度Yは、
Y=1-(1-0.80)×(1-0.80)=0.96
もうひとつ例を見てみます。
このシステムの信頼度Zは、
Z=1-(1-0.80)×(1-0.80)×(1-0.80)=0.992
このように同じ信頼度が並列される場合は並列でつながる数が多いほど、信頼度が高くなっていきます。
どれかひとつのシステムが故障等により機能しなくなった場合でも、他に並列される機能が生きていればシステム全体は機能するため、直列のときより信頼度が高くなります。
逆に言えば、並列される機械が同時に故障しない限りは機能するということであり、並列される数が多いほど信頼度が上がるのです。
このイメージを持っているだけでも解答する際のヒントになります。
アローダイアグラムの問題は難しくない
建築・土木分野でネットワーク工程を理解している方にとってはサービス問題かと思います。
実務であまり馴染みがない方でも、ネットワーク工程自体は難しくなく理解もしやすいため、積極的に勉強して覚えるべき分野です。
所要時間や進捗、クリティカルパスを理解できれば簡単に解ける問題がほとんどです。
材料力学は基礎知識なので覚える
材料力学の問題は文章問題や正誤問題として出題されます。
過去問と全く同じ問題というのはあまりないですが、類似問題はありますのでまずは過去問を繰り返しこなしましょう。
また、技術士を目指す者にとって、材料力学の出題内容は基礎知識的なもの(常識)です。
この分野に関しては「覚えられないから捨て問題にする」ということはせず、基礎知識として身に付くように真剣に勉強することをおすすめします。
捨て問題を見極める
これは1群に限らず、基礎科目では共通の戦略となります。
というのも、そもそも技術士第一次試験は満点を目指す試験ではなく、5割以上とれれば合格する試験です。
過去問の類似問題や比較的簡単な問題も含まれている以上、解答を読んでも全く理解できないような問題を大学の参考書やインターネットで調べてまで理解しようとする必要ははっきり言ってありません。
捨て問題は7年分の過去問を3回繰り返せば自然と見極められるようになります。
過去問をこなせば、いわゆる「新傾向問題」や「初見問題」のようなものは見た瞬間にそう感じます。
本試験の際は、そのような問題を早々に飛ばし、他の問題に取り組むという素早い判断が必要です。
特に基礎科目は3科目のうち圧倒的に試験時間が厳しく設定されています。時間との勝負になりますので、難解な問題や新傾向問題を見極める力をつけましょう。
参考までに、1群における下記の分野は、大学で専攻していた方や実務で精通している方以外は「捨て問題」にしていい問題の候補です。市販されている基礎科目の問題集などでも、難解な問題とされることが多い分野です。
- 標準偏差(私は知識がなく、早々に捨て判断としました)
- 近似式
- 微分導関数(難解な問題もあり、積極的に解く必要なない)
- 破壊確率
スマホアプリを有効活用しよう
1群は暗記系の問題が多いため、スマホアプリの活用をおすすめします。
私は下記のアプリを活用していました。
近年の過去問は搭載されていないようで少し古い問題が中心ですが、近年においても少し古い過去問からも引用がされています。
繰り返せば十分に試験対策になります。
1群の目標得点
1群の目標得点は3群、4群の得意・不得意で戦略が変わってきます。
2群と5群は比較的簡単な問題や過去問の引用が多く、得点源になります。一方、3群と4群は専門知識が多く、実務で精通していたり高校・大学の知識が残っていなかったりする方にとっては得点が難しい分野になります。
3群に至っては過去問と同じ問題というのが少なく、苦手な人にとっては弱点となります。(4群は過去問の引用が多く、ある程度は克服可能です)
以上をふまえ、1群の目標得点は下記となります。
1群の目標得点:2得点/3問
1群の目標得点:3得点/3問
まとめ
本記事では技術士第一次試験 基礎科目のうち、1群(設計・計画)に特化して解説をしました。
1群は難解な問題が含まれている一方、確実に得点できる問題も必ず出題されます。
過去問を繰り返しこなし、合格を目指しましょう。