【国家資格】技術士とは? 試験内容や難易度、取得メリットを徹底解説!!

  • URLをコピーしました!

こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。

悩んでいる人

技術士という資格があるらしいけど、どんな資格なの?難易度は高いの?そもそも取得するメリットはあるのかな…?

そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
技術士という資格は専門性が高いゆえ、世間的に知名度が低いというのが実情です。
ですが、実は技術士は技術分野では最高峰の資格であり、国が認定する国家資格なのです。

目次

技術士の定義と位置付け

技術士とは技術士法に基づき文部科学省が所管となり認定する国家資格で、
技術者にとっては最高位の国家資格の位置付けです。

技術士の定義

技術士法において、技術士は以下のように定義されています。

「技術士」とは、(中略)科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての
計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者(中略)をいう。

技術士法 第2条

技術士試験の指定試験機関である公益社団法人 日本技術士会」のHPにおいては、
技術士制度について下記のように解説されています。

・科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力を有する
・豊富な実務経験を有する
・高い技術者倫理を備える
上記のような技術者の育成を図るための制度

公益社団法人 日本技術士会

高度な技術が求められるだけでなく、
技術者倫理を兼ね備え、継続的な資質向上に務めることが責務」とされているのが特徴です。

博士」は技術理論を論文にし学理を開発する学者であり、対して「技術士」は技術分野においてその理論を実践し応用する者であることから、両者は車の両輪であると言われます

建築業界においては

後述しますが、技術士の技術部門のひとつである「建設部門」は最も登録者比率が高く、
技術士の半数近くが建築・土木関連の技術者や建設業界に従事している方です。

建築分野における最高位の資格といえば「一級建築士」がありますが、一級建築士は国土交通省が主管の国家資格です。
技術士は文部科学省が主管の国家資格であり、認定する省が違います
建築士法と技術士法でそれぞれ法律も違う領域の資格制度となっています。

ですので、建築業界ではこの2つの最高位の資格を両方取得する方も少なくありません。
ちなみに土木分野では「一級建築士」に該当するような資格がないので、技術士の取得を目指す方が多いです。

※一級建築士については下記の記事で解説していますのでこちらも参考にしてください。

技術士補とは

技術士制度の中に、「技術士補」というものがあります。
技術士補とは、将来技術士となる人材の育成を目的にした制度で、技術士を補助する者を言います。

技術士になるためには技術士第一次試験に合格後、所定の受験資格条件を満たしてから技術士第二次試験を突破する必要がありますが、第一次試験に合格した者が技術士補登録する資格を得られます
つまり、技術士第一次試験は技術士補の試験でもあり、技術士になるための第一ステップでもあります。

技術部門について

技術士制度の大きな特徴として、技術部門が設けられている点があります。

例として、建築関連であれば「建築施工管理技士」「管工事施工管理技士」「土木施工管理技士」など、
専門分野ごとに資格が分かれているのが通常ですが、技術士は技術分野のすべての領域をカバーした制度です。

現在、技術部門は21部門にわたります。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門
  • 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門
  • 総合技術監理部門

技術士を名乗る際は、「技術士 〇〇部門」と明記する必要があります。

技術士の現況

技術士制度は昭和32年に発足しました。
それからこれまでの間、令和4年3月末現在で、技術士登録者数は約97,000人です。

部門別では建設部門が全体の45%を占め、次いで総合監理技術部門上下水道部門機械部門と続きます。

業態別では、技術士全体の79%が一般企業等、12%が官公庁・法人、0.5%が教育機関に従事し、
約8%は自営で業務を行っています。

技術士の業務

技術士である大部分の人は、国や地方公共団体、企業などの組織において高度な技術力を発揮し活躍をしています

また、自営コンサルタントとして活躍する例もあります

自営コンサルタントの例
・公共事業の事前調査・計画・設計監理
・地方公共団体の業務監査のための技術調査・評価
・裁判所、損保機関等の技術調査・鑑定
・地方自治体が推進する中小企業向け技術相談等への協力
・中小企業を中心とする企業に対する技術指導、技術調査・研究、技術評価等
・大企業の先端技術に関する相談
・開発途上国への技術指導
・銀行の融資対象等の技術調査・評価

技術士試験の概要と受験資格

技術士になるためには所定の受験資格を満たし、試験を通過する必要があります。

試験の概要

技術士試験は技術士第一次試験技術士第二次試験に分かれます。
それぞれの試験は技術部門ごとに行われます

技術士試験の仕組み
 出典:公益社団法人 日本技術士会
https://www.engineer.or.jp/contents/become_engineer.html

前述したように、技術士第一次試験の合格者は技術士補の登録資格を得ます

指定の教育課程を修了している者は一次試験を受験せずに技術士補の資格を得られます。
指定の教育課程とは、大学等において日本技術者教育認定機構(JABEE)認定コースとして文部科学大臣より指定された課程のことです。指定された大学の一覧は下記で確認ができます。

技術士法第三十一条の二第二項及び第三十二条第二項の規定に基づく教育課程及び対応する技術部門の指定について

第二次試験の合格者が、晴れて技術士の登録資格を得ます

第一次試験の受験資格

第一次試験の受験資格はありません。(年齢・学歴・国籍・業務経歴等による制限なし)
つまり、誰でも受験可能です。

第二次試験の受験資格

第二次試験の受験資格は2つあります。
とくに2つ目の要件がハードルが高く、技術士を志す者に対して、国が豊富な実務経験を求めていることがわかります。

1.技術士補となる資格を有していること
2.次の①~③のうち、いずれかの業務経験を有していること
 ①技術士補の登録日以降、技術士補として4年を超える期間技術士を補助している。
 ②技術士補となる資格を有した日以降、監督者の下で科学技術に関する業務について4年を超える期間従事している。
 ③科学技術に関する業務について、7年を超える期間従事している。※技術士補となる資格を有した日以前の期間も算入できる。


※総合技術監理部門を受験する場合はさらに長い従事期間が必要です。
※②の監督者の要件は、
(ⅰ)科学技術に関する業務に従事した期間が7年を超え、 かつ、第二次試験を受けようとする者を適切に監督することができる職務上の地位にある者によるものであること。 【職務上の上下関係に基づき、常時技術的指導を行い得る立場にある者】
(ⅱ)第二次試験を受けようとする者が技術士となるのに必要な技能を修習する ことができるよう、(ⅰ)に規定する業務について、 指導、助言その他適切な手段により行われるものであること。 【設計・計画等に関する技術的指導、レポート作成指導等の手段】

試験の内容

技術士試験は複雑な試験構成ではなく、比較的シンプルな構成になっています。
第一次試験、第二次試験それぞれについて解説します。

第一次試験の試験内容

第一次試験は筆記試験です。

基礎科目適正科目専門科目の3つの科目があります。

1.基礎科目(試験時間60分:択一式)
 科学技術全般にわたる基礎知識を問われます。問いは以下の5つの分野に分かれています。
  ①設計・計画に関するもの
  ②情報・論理に関するもの
  ③解析に関するもの
  ④材料・科学・バイオに関するもの
  ⑤環境・エネルギー・技術に関するもの

2.適正科目(試験時間60分:択一式)
 技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関して、各問に解答します。

3.専門科目(試験時間120分:択一式)
 自身が選択した技術部門に関する基礎知識・専門知識が問われます。

第二次試験の試験内容

第二次試験は筆記試験及び口頭試験です。

1.筆記試験
 筆記試験は記述式です。

 ・自身が選択した技術部門に対応した必須科目
 ・各技術部門に設定されたさらに細かな科目から選択した選択科目
  について試験が行われます。

必須科目(試験時間120分:記述式)
 Ⅰ「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
選択科目(試験時間210分:記述式)
 Ⅱ「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの
 Ⅲ「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの

2.口頭試験
 筆記試験に合格した者のみが口頭試験に進みます
 筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ試問されます。試験時間は20分です。

口頭試験の内容
 1.技術士としての実務能力
  ①コミュニケーション・リーダーシップ
  ②評価、マネジメント
 2.技術士としての適格性
  ①技術者倫理
  ②継続研鑽

口頭試験の試験官は現役の技術士です。
回答が曖昧だったりすると鋭く指摘されたり、虚偽の経験談を語ってもすぐに見抜かれると言われています。

難易度・合格率は?

技術士は難関資格と言われますが、どの程度の難易度なのでしょうか。
合格基準や近年の合格率について解説します。

第一次試験の合格基準・合格率

第一次試験は3科目すべてで50%以上の得点が合格基準となります。
3科目の合計点数ではなく、各科目ごとに基準を超える必要があります

 基礎科目:50%以上の得点(8点以上/15点)
 適正科目:50%以上の得点(8点以上/15点)
 専門科目:50%以上の得点(25点以上/50点)

直近10年では、第一次試験の合格率は30~50%で推移しています。
過去問をきちんと対策しておけば合格できる難易度です。

第二次試験の合格基準・合格率

必須科目、選択科目の各問題について、60%以上の得点が合格基準となります。

第二次試験の合格率は平成30年以降、10%前後となっており、非常に難易度の高い試験であるといえます。
第一次試験と比較し難易度が格段に上がります

技術士試験が難関資格と言われるのは、この第二次試験の難易度がゆえと言えるでしょう。

技術士を取得するメリットは?

冒頭に述べたように、技術士は科学技術分野の技術者にとっては最も権威ある資格です。
では、技術士を取得することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

企業側のメリット

・公共工事の入札時に、技術士登録者数が評価される
・技術士を取得した技術者を従業員に持つことで、社会的信用に繋がり、技術コンサルタントなどの仕事も増える

個人のメリット

・転職や就職、独立に有利
・会社から一定の評価を得られ、昇進・昇給などが見込める
・他の国家資格において、一部試験の免除を受けられる(弁理士や電気施工管理技士、気象予報士など)
・技術の最高峰としての箔が付き、仕事に自信が生まれる

まとめ

本記事では技術分野における国家資格のひとつ、技術士について解説しました。

記事内で解説したように技術士は難関資格ですが、第一次試験については誰でも受験が可能であり、難易度もそこまで高くありません。少しでも興味があれば、まずは第一次試験を受験し、技術士補を目指してみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

SNSでシェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次