こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。
本記事では技術士第一次試験の基礎科目のうち、4群(材料・化学・バイオ)に特化して出題内容の解説や勉強方法についてまとめています。
・基礎科目 4群の出題内容が知りたい
・4群の勉強方法・対策が知りたい
・4群の目標得点が知りたい
技術士第一次試験を一発合格した筆者が解説します。
4群の出題内容
まずは4群の出題内容を見てみましょう。
出題分野と問題形式
技術士第一次試験の基礎科目は「科学技術全般にわたる基礎知識」とされています。
その中でも4群は「材料・化学・バイオに関するもの」という分野から出題されます。
各群で共通ですが、6問出題され、3問を選択し解答します。
4群は例年、6問中の2問が化学分野、2問が材料分野、2問がバイオ分野と出題順と問題数が決まっています。
化学分野においては、有機化学、化合物の極性、酸性度、金属イオン水溶液、熱化学方程式など幅広い分野から出題がされ、物質量やCO2生成量の計算問題もあります。
材料分野においては、金属の性質、結晶構造、元素、力学特性などが出題されます。文章問題がメインですが、物質量分率など簡単な計算が必要な問題もあります。
バイオ分野においては、アミノ酸、タンパク質、DNA、PCR法、遺伝子組換え技術など、文章問題がメインで出題されます。
建設部門で受験する方の中で建築系の学部出身の場合、どちらかというと物理学を専攻してきた人が多いかと思います。そうなると、化学・バイオの分野というのはまったく知識がないか、基礎的なことしかわからないという方も多いのではないでしょうか。
私はまさにそのタイプで、化学・バイオは全くと言っていいほど予備知識がない状態でした。
それゆえ、物理専攻だった方は4群に関しては初見でほぼ太刀打ちできないかと思います。
しかし、
4群の出題傾向として、過去問の類似問題や流用問題が非常に多いという特徴があります。
過去7年の出題内容
過去7年の4群の出題内容は下記のようになっています。
番号 | 令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年度再 | 令和元年度 | 平成30年度 | 平成29年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 酸性度・水溶液 | 同位体 | CO2生成量 | 極性 | ハロゲン | 物質量 | 金属イオン種 |
2 | 原子の酸化数 | 酸化還元反応 | 有機化学反応 | 酸性度 | 同位体 | 酸性度・水溶液 | 水溶液の沸点 |
3 | 金属材料 | 金属の変形 | 金属の性質 | 標準反応 エントロピー | 物質量分率 | 金属の腐食 | 結晶構造 |
4 | 材料の力学特性 | 鉄の製錬 | 結晶構造 | 材料の元素 | 各種物質性質 | 金属の変形 | 材料の元素 |
5 | 酵素 | アミノ酸 | CO2消費量 | コドン | DNAの変性 | 生物の元素 | アミノ酸 |
6 | 二本鎖DNA | 遺伝子突然変異 | PCR法 | 遺伝子組換え技術 | タンパク質 | タンパク質 | 遺伝子組換え技術 |
表のうち青字で示したものは計算問題です。計算と言っても、難解な計算ではありません。
4群の出題キーワード
4群の出題内容をキーワードで整理します。
材料分野のキーワード
材料分野は出題範囲が幅広く、キーワードが多くあります。
鉄・銅・アルミニウム
密度、電気抵抗率、融点の比較
金属の腐食
全面腐食、局部腐食、力学的作用、化学的作用、酸化物被膜、不働態
金属の変形や破壊
自由電子、結晶粒径、降伏応力、格子欠陥、加工硬化、疲労破壊、繰り返し不可
結晶構造
面心立方構造、体心立方構造、六方最密充填構造、原子数、原子半径、アルミニウムの結晶
部品及び材料に含まれる元素
・乾電池負極材(Zn:亜鉛)
・リチウムイオン二次電池正極材(Co:コバルト)
・光ファイバー(Si::珪素)
・ジュラルミン(Cu:銅)
・永久磁石(Fe:鉄)
材料の力学特性試験
公称応力・公称ひずみ、真応力・真ひずみ、弾性・塑性
化学分野のキーワード
化学分野も出題キーワードが幅広いですが、問題の形式は傾向があります。
酸性度
弱酸:酢酸>炭酸>フェノール
同位体
質量数、陽子の数、電子の数、中性子の数、放射線
原子の酸化数
※化学反応式が出題される
酸化還元反応
※化学反応式が出題される
有機反応
置換反応、付加反応、脱離反応、転移反応
極性
分子化合物、正電荷、負電荷、電気双極子モーメント
熱化学方程式
ルシャトリエの原理、発熱反応、生成率
バイオ分野のキーワード
バイオ分野は出題されるキーワードはそこまで多くありません。近年は新傾向の問題も出題されています。
アミノ酸(タンパク質)
20種類、アミノ基、カルボキシ基、疎水性アミノ酸、L体、共有結合、ペプチド結合、側鎖
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法
DNAの熱変性、水素結合、アニーリング、特異性、伸長反応、耐熱性、プライマー
コドン
64種類、1種類のアミノ酸にいくつものコドンが存在
DNAの変性
水素結合、ヌクレオチド、ホスホジエステル結合、グアニンとシトシン
遺伝子組換え技術
1979年:大腸菌によるヒト型インスリン、PCR法、ゲル電気泳動、陽極
二本鎖DNA
グアニン(G)、シトシン(C)、アデニン(A)、チミン(T)、同じ側の鎖、相補鎖
生物の元素組成(細胞の化学組成)
水(70%)、主要4元素(99%)、水素原子(60%)、有機小分子、核酸(微量)
4群の勉強方法と対策
ここでは、4群の具体的な勉強方法と対策について説明していきます。
とにかく過去問を解きまくる!(特に4群は効果的)
冒頭に述べたように、4群は過去問の引用や流用問題が多いことが特徴です。
まったく同じ形式の問題もあります。
当たり前のことで申し訳ないですが、4群に関しては特に「過去問をこなしただけ、正答率があがります」。
過去問の引用率順に対策の優先度をつける
材料、化学、バイオで2問ずつ出題される4群ですが、分野ごとに過去問の引用率の特徴があります。
これは過去問をひたすらこなした私の感覚ではありますが、過去問の引用率は高い順に、
バイオ分野>化学分野>材料分野
です。
どの分野も苦手でなにから勉強したらいいかわからないという方はこの順に対策を進めていくといいでしょう。
バイオ分野
バイオ分野の問題は文章問題がメインであり、穴埋め形式か正誤問題のどちらかであることがほとんどです。
過去問の類似問題が非常に多く、全く同じ問題も出題されています。
また、正答を導くためのキーワードがほぼ決まっているため、過去問を繰り返しているうちに自然と慣れてきます。
化学分野
化学分野も過去問の引用が多いです。
酸性度や同位体に関する問題などは4~5年の頻度で同じ問題が出題されています。
材料分野
材料分野に関しては、建設部門で受験する人にとってはとっつきやすそうなものですが、出題範囲が広いことに加え、新傾向問題が出題される可能性が高く、意外と対策が難しいです。
一方で、「部品及び材料に含まれる元素」、「材料の力学特性試験」、「密度、電気抵抗率、融点の比較」などの問題は過去10年で2回出題されています。
このように、過去問の引用がまったくないわけではないので、少なくとも過去7年分の過去問はこなしておきましょう。
捨て問題を見極める
これは4群に限らず、基礎科目では共通の戦略となります。
建設部門で受験する方を想定しますが、4群については、化学の予備知識がなく復習をする時間がない方は化学式が絡む問題はすべて捨て問題としましょう。
私も化学式に関わる問題は一切、勉強をしていません。これも戦略です。
材料分野については新傾向問題が多く、本試験で初見問題という可能性も十分にあります。よほど自信がある方以外は初見問題は避けたほうが無難です。
また、化学分野で下記のキーワードが絡む問題はそもそも難易度の高い問題になりますので、できれば避けましょう。
・標準反応ギブズエネルギー
・標準反応エントロピー
・標準反応エンタルピー
スマホアプリを有効活用しよう
4群は暗記系の問題が多いため、スマホアプリの活用をおすすめします。
私は下記のアプリを活用していました。
近年の過去問は搭載されていないようで少し古い問題が中心ですが、近年においても少し古い過去問からも引用がされています。
繰り返せば十分に試験対策になります。
4群の目標得点
4群の目標得点は基礎知識・予備知識の有無で戦略が変わってきます。
化学・バイオの分野を専攻してきた方で基礎知識がある方は満点が狙えるでしょう。
物理だけを専攻してきた方にとっては一からの知識習得がなかなか難しいため、少し妥協をしましょう。と言っても、過去問対策さえしていれば得点は可能な群なので、2点はとっておきたいです。
以上をふまえ、4群の目標得点は下記となります。
4群の目標得点:3得点/3問 (満点)
4群の目標得点:2得点/3問
まとめ
本記事では技術士第一次試験 基礎科目のうち、4群(材料・化学・バイオ)に特化して解説をしました。
4群は専門的な知識が問われる一方、過去問引用が多く、確実に得点できる問題が必ず出題されます。
過去問を繰り返しこなし、合格を目指しましょう。