こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。
一級建築士試験ってどんな試験なの?難しいの?合格率ってどのくらい?
独学でも合格できるのかな…?そもそも取得するメリットはあるの?
そんな疑問をお持ちの方に向け、本記事では一級建築士試験の内容、合格率、取得メリットについて解説します。
そもそも一級建築士とは?
一級建築士という言葉はよく聞くと思いますが、具体的にどのような人のことを指すのでしょうか。
一級建築士の定義
一級建築士とは、
国土交通大臣の免許を受け、一級建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者
をいいます。
国土交通大臣から認可を受ける国家資格のひとつであり、ここでいう「設計」や「工事監理」は建築士にしかできない独占業務です。
一級建築士は設計できる建物の用途や規模に制限がなく、ありとあらゆる建物の設計を行うことができます。
一口に「設計」といっても、業務は多岐にわたります。主な設計業務は3つあります。
- 建築物の外観・内観・レイアウト・デザインなどを設計する「意匠設計」
- 建築物の安全性を確保するため、部材設計や構造計算を行う「構造設計」
- 建物の空調や給排水、電気、輸送設備などを設計する「設備設計」
これら3つの設計を相互に調整をしていきながら、一つの建物を設計していきます。
※設計や工事監理の業務については下記の記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。↓
一級建築士になるためには
一級建築士になるためには、必要な受験資格をクリアしたうえで一級建築士試験に合格し、免許を受ける必要があります。
一級建築士の免許は、一級建築士名簿に登録することによって行われます。
免許が与えられたときには、一級建築士免許証が交付されます。
一級建築士試験の受験資格や試験内容は?
一級建築士試験は誰でも受験できるわけではなく、受験資格が定められています。
また、試験の内容も独特のものになっており、対策が必須です。
受験資格と試験内容を確認していきましょう。
受験資格は?
一級建築士の受験資格は下記の通りです。
一級建築士の受験資格の要件 |
---|
・大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者 |
・二級建築士 |
・建築設備士 |
・その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等) |
※建築に関する学歴については、学校の入学年が「平成21年度以降の者」と「平成20年度以前の者」とでは要件が異なります。
※建築士の受験資格の詳細は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのHPに記載されています。
建築関係の大学や専門学校を卒業していなくても、二級建築士を先に取得して実務経験を積めば一級建築士の受験資格を得ることができます。
試験内容は?
一級建築士の試験は1年に1回実施されます。
1次試験は「学科の試験」、2次試験は「設計製図の試験」となります。
2次試験である「設計製図の試験」は1次試験の学科試験を合格しないと受験できません。
他の資格試験では一次試験免除の規定などがある場合もありますが、一級建築士にはそのような免除規定はありませんので、全員がまずは学科試験を通過する必要があります。
学科試験の内容
学科試験は例年、7月の第4日曜日に行われます。(令和2年度、令和3年度は例外で、東京オリンピックの関係で学科試験が第2日曜日に行われました。)
試験は5科目、マークシート方式で全125問の4肢択一問題です。
科目と配分は以下です。
科目 | 科目名 | 問題数 |
---|---|---|
学科Ⅰ | 計画 | 20問 |
学科Ⅱ | 環境・設備 | 20問 |
学科Ⅲ | 法規 | 30問 |
学科Ⅳ | 構造 | 30問 |
学科Ⅴ | 施工 | 25問 |
125点満点の試験となりますが、合格基準点は90点前後(7割以上)が目安で、各科目に足切り点も設定されます。
過去出題問題が中心となりますが、初出題や新傾向の問題も多数出題されます。
過去問だけを対策していれば合格できるというわけではありません。
設計製図試験
設計製図試験は例年、10月の第2日曜日に行われます。
試験の課題は事前に発表されます。例年、学科試験の合格発表とほぼ同時の9月初旬に課題が発表されます。
設計製図試験では出題者の要求や法関連の与条件をクリアし、6時間半の試験時間で図面、記述を完成させる必要があります。
解答はランクⅠ~Ⅳの4段階評価を受けますが、ランクⅠの者のみが合格となります。
記述問題は自身の設計した建物に関する設備、構造の説明も記述する必要があり、学科試験で培った知識も必要になります。
設計製図試験は学科試験に合格した者でないと受験ができませんが、学科試験を合格後に行われる5回の試験のうち、3回は学科試験が免除され、設計製図試験から受験ができます。
合格率はどのくらい?独学でも受かるの?
難関資格と言われる一級建築士ですが、どの程度の合格率なのでしょうか。
学科試験、設計製図試験それぞれで見ていきましょう。
学科試験+設計製図試験の総合合格率
学科試験と設計製図試験の総合合格率は直近5年で10%程度となっています。
学科試験の合格率
学科試験は例年25,000~30,000人程度が受験しており、合格率は直近5年で20%前後です。
設計製図試験の合格率
設計製図試験は例年10,000人前後が受験しています。
この中には、2回目、3回目受験者も入っていますので、全員が初年度の受験者というわけではありません。
合格率は直近5年で35%程度ですが、2回目、3回目でようやく合格している人もいるため、初年度での合格率はさらに低く、一発合格の難しさがうかがえます。
独学での合格は可能か
学科試験は独学でも合格可能です。
設計製図試験に関しては独学での合格はかなりハードルが高いので、資格学校に通うことをおすすめします。
※一級建築士試験の独学合格については下記の記事で詳しく解説しています。
一級建築士を取得するメリットは?
難関資格と言われる一級建築士を取得するからには、相応のメリットがあります。
ありとあらゆる建物の設計ができる
二級建築士や木造建築士では設計できない建物まで設計が可能となり、仕事の幅が広がります。
特に、設計事務所に勤務をする方で設計業務や監理業務に携わる場合は必須の資格になります。
社会的信頼を得られる
一級建築士は建築業界では最上位の資格です。
建築業界で仕事をしている以上、最上位資格である一級建築士を所有しているというのは信頼性の向上につながります。
私も仕事で発注者(=これから建物を建てようとしている顧客)や設計事務所と打ち合わせをすることが多々ありますが、名刺に一級建築士と書いてあるだけで何かしらのリアクションをいただくことがあります。
相手の立場に立ってみれば、一級建築士というだけで、説得力が増しますよね。
昇級や昇給につながる
社会的信頼に加え、会社からも一定の評価が得られるはずです。
私の会社も取得した際の報酬と毎月の資格手当があります。これはまさに会社からの評価の対価ですね。
社内組織におけるステップアップの観点でも、一級建築士を保有しているかしていないかで会社からの評価は違うのではないでしょうか。
※一級建築士の年収については下記の記事でも解説していますので参考にして下さい。
転職に有利になる
転職を考えている場合、一級建築士というステータスがあると当然有利となります。
特に不動産業界や官公庁に転職する方が多いようです。
私の知人も、一級建築士取得後、金融系の会社の建設部門に転職していました。
一級建築士という肩書は知識と実務経験の証明になりますので、転職の際の武器になります。
まとめ
本記事では一級建築士試験の内容や合格率、取得メリットについて解説しました。
非常に難易度の高い資格ですが、合格すればその先の人生が変わります。
建築業界で信頼を得つつ活躍をしたい方はぜひ取得を考えてみて下さい。