こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。
本記事では法令集の線引き7つの極意や活用方法について解説します。
※長い記事ですので、読み飛ばしたい場合は目次をご活用下さい。
なぜ法令集の線引きが必要なの?
法令集の線引きは勉強開始~試験当日まで役立つものになります。
言い換えれば、法規の勉強を始める前に、まずは法令集の線引きを完了させる必要があります。
そもそも法令集に線引きは必要なの?時間もかかるし面倒だ…
線引きは必須ですよ。アンダーラインやマーカーなしで法規に挑むのは無謀です。理由を以下に解説します。
法規は時間との勝負
学科Ⅲ法規は「建築関係法令集」を持ち込み、法令集を駆使しながら解答をしていく科目です。
問題数が30問あり各問が4肢択一なので、120の関連条文に対して正答肢を解答する必要があり、
時間との勝負になります。5科目の中でも圧倒的に試験時間が足りない科目です。
と言っても実際は120肢すべてを法令集で確認していくわけではありません。それでは本番で負けてしまいます。
法規の勉強方法と問題の解き方については別記事で解説しますね。
時間との勝負になるということは、
①いかに法令集の内容を頭にインプットできるか
②いかに早く法令集を引けるか
にかかってきます。
そこで、線引きやインデックスの出番となるわけです。
①いかに法令集の内容を頭にインプットできるか
これは勉強期間における話です。
法規の勉強は実は暗記が肝になってきます。
法令文なんて暗記できるわけないと思うかもしれませんが、もちろん条文をそのまま暗記するわけではありません。
線引きにより条文を色や記号で補うことで視覚的に捉えることができ、
- どこに何が書いてあるのか
- 条文と条文の関連性
- 除外規定や適用除外
などが把握しやすくなり、インプットの手助けになります。
②いかに早く法令集を引けるか
これは模擬試験や試験当日のことを言っています。
どんなに暗記対策をしても、いざ本番は見たことのない問題が登場し、法令集を引くという作業は避けられません。
この時に、いかに早く探したい条文を見つけられるかが勝負の分け目になってきます。
法令の条文は読解しづらい
法令集の線引きが必要なもう1つの理由に、条文の難解さがあります。
建築関連法令に限ったことではなく、日本の法律の条文は非常にわかりづらい文章や言い回しをしています。
一度読んだだけでは理解できないものが大多数です。
「~を除く」や「~以外」といったまわりくどい表現が多用されているため、
色分けしたアンダーライン等を施すことで読みやすさが格段に向上します。
まずはインデックス(見出し)整備から
線引きに先立ち、インデックス(見出し)の貼り付けをします。
私は総合資格学院の法令集を使用していましたので、専用のインデックスが付いていました。
有名どころの法令集にはインデックスが付いてくると思いますので、それを活用して下さい。
インターネット上でもインデックスのラベルデータを無料提供しているサイトがありますので、
資格学校に通わず独学する方はそれらを活用してみてもいいかもしれません。
このあとに待っている地獄の線引き作業に比べれば断然楽な作業ですので、気にならない程度に綺麗に貼りましょう。
法令集の線引き 7つの極意
法令集は1,000ページ以上に及ぶため、線引きはかなり時間を要する作業になります。
私は20時間程度かかりました。
しかも非常に単調な作業ですので、途中で心が折れかけます。
この地獄の線引き作業を効率的に進めるための7つの極意をご紹介します。
①アンダーライン見本を入手する
②最適な筆記具を選定する
③定規を活用する
④作業環境を整える
⑤多色にしすぎない
⑥条文の中身は気にせず無心で進める
⑦代行や線引き済の法令集は利用しない
ひとつずつ解説していきますね。
①アンダーライン見本を入手する
法令集の線引きには各種の「見本」があります。
資格学校に通っている場合は学校が刊行しているものを貰えると思いますのでその通りに線引きをして下さい。
アンダーライン見本はインターネットで入手したりやメルカリ等でも販売されていますので、独学の方はそちらも利用してみて下さい。TACのホームページでは線引き集を無料ダウンロードできます。(もちろん、TAC独自の線引きルールです)
ここで注意点ですが、資格学校に通っている方は線引きのベースは学校刊行の見本にできるだけ従ったほうがいいです。
なぜなら、学校での講義も
「ここに赤線ひいてありますよね~」
とか、
「ここは除外規定なので青線になっていますよね」
とか、学校の見本通りの線引きルールを前提に講義が進みます。
見本と違う線の引き方をしているとついていけなかったり混乱する可能性があります。
②最適な筆記具を選定する
総合資格学院のアンダーライン見本は肯定文を赤線、否定文を青線とした2色ルールになっています。
この場合は赤と青の2色が必要なわけですが、何色を使うにせよ、フリクションボールを使うことを強くおすすめします。
同アンダーライン見本では赤と青の一体型鉛筆を推奨していますが、
鉛筆は摩耗により線の太さがばらつくので、おすすめできません。
フリクションであれば常に一定の太さで線が引けるうえに、間違えた場合も消すこともできます。
「一定の太さ」というのが結構大事です。
まずはすべての条文を一定の太さで色分けし、あとから線を太くするなり強調するなりしていくのが法規の勉強の重要な過程となります。
また線引き作業では想像以上にインクを消耗します。替え芯1本では到底足りません。数本用意して下さい。
③定規を活用する
これは結構意見が分かれるのですが、フリーハンドではなく定規を当てて線を引いたほうが作業が早いです。
まっすぐきれいに線を引く目的というよりは、時間効率の観点からです。
疑わしく思う人は実際に1ページ分で試してみて下さい。フリーハンドって意外に気を使うし時間がかかります。
定規は10cm~15cmのなるべく短いものを使用したほうがいいです。
法令集は分厚いので定規がページをまたぐと線が引きづらくなるためです。
また、短いほうが機動性もよくなります。
④作業環境を整える
線引きをするときは姿勢や法令集の配置を自分が一番しっくりくるようにポジショニングして下さい。
また法令集は分厚く、線引き開始初期と終盤は左右のページに段差ができ線が引きにくくなりますので、段差解消の嵩上げ材をセットして下さい。
⑤多色にしすぎない
多色のアンダーラインを使用している見本もありますが、色を使いすぎるのはあまりおすすめできません。
それだけ作業スピードが落ちます。
また法規の勉強という観点でも、多色だとデメリットが出てきます。
色が多いということはそれだけルールが多いということです。
ルールを把握・読解するだけでも時間がかかりますし、余計にややこしくなります。
ベースはシンプルに2色とすべきです。
フリクションボールのベース2色に対して、
フリクションマーカー3色程度で補足していくのが見やすいと思います。
⑥条文の中身は気にせず無心で進める
法令の内容を読みながらだったり法規の勉強をしながら線引きを同時にしていく人がたまにいますが、
「法規の勉強」「線引き」のどちらの観点から見ても効率が悪いです。
精神的疲労は伴いますが、線引きは1ページずつただただ無心で勧めるのが一番効率が良い方法です。
⑦線引き代行や線引き済の法令集は利用しない
外注による線引きの代行や、メルカリ等で線引き済の法令集が販売されていたりしますが、
どちらもあまりおすすめできません。
ちゃんと線引きができているのかというチェック自体が途方もない作業ですし、
チェックせず使うにしてもそのような疑いや不安を持ったまま一級建築士試験に挑むこと自体がナンセンスです。
よっぽど時間に追われていない限りはちゃんと自作することをおすすめします。
もちろん、勉強開始時期が遅い方や時間の確保が難しい方などは、有効利用してみるのもひとつの手です。
書き込めるもの・書き込めないもの
試験元が公表している「「学科試験」において使用が認められる法令集について」の中で、
法令集への書き込みについての決まり事が記されています。
この規則に違反した場合、法令集を没収されたり、退場を命ぜられる可能性があります。
結論から言いますと、アンダーラインやマーカー以外は何も書き込まないのが最も安心です。
認められる書き込み
①条文(令〇〇条〇項)やページ数(p.8)などの補足
②見出し(前述のインデックス)
認められると記載されているのはこれだけです。
つまり、余計なことは書かないに越したことはありません。
私はアンダーラインとマーカー以外、一切書き込みはせず合格しています。
勉強期間中は書いていてもいいですが、付箋等で目印をしておき、試験当日にはしっかりと消していくほうが安心です。
認めらない書き込み
①別表などの挿入
②解説文の挿入
③早見表の挿入
④計算式の挿入
⑤図の挿入
⑥解説にあたるもの(記号も含む)
項目が多いですよね。
なにかを書き込んだだけで上記のどれかに該当する可能性が高いため、何も書き込まないのが得策といえます。
法規の勉強をスタートしたら
法令集のベースの線引きを終えたらようやく法規の勉強をスタートできるわけですが、
実は線引きはこれで終わりではありません。
勉強を進めながら、線引きをさらに充実させていきます。
①ベースで引いた線は何重にも重ねていく
法規の勉強をしていると、何度も出会う条文というのが必ず出てきます。
例えば、建築基準法の第6条 確認申請に関する条文は勉強初期の段階にはいやというほど引く条文です。
こういった出現頻度の高い条文は線を重ねて引き、強調していって下さい。
②マーカーで強調していく
「この条文のこの文言はよく出てくるな」
とか、
「この条文のこのキーワードに関連する問題はよく間違えるな」
といった場合にマーカーで強調していきます。
線を重ねていく場合と同じ理由ですが、目につくようにするためです。
色のルール等は自分で決めてOKです。
③関連する条文等をマーカーで色分けし視覚的にリンクさせておく
これは私の法令集を実際に見ながら解説します。
「前条第1項第二号」に掲げる特殊建築物は…
とありますが、これは前ページにある第二号のことを指しています。
このリンクした条文を同じ色でマーキングしておきます。
もう一つ例を挙げます。
「前3項の規定は…」とあります。
直前の第6項、7項、8項を指しています。
これを同じ色のマーカーで関連付けしておきます。
条文ではこういった引用を使った表現が多用されています。
関連する条文を同色でマーキングしておくことで、より素早く条文を読むことができます。
もしこのマーカーがなければ、探すのに時間がかかりますよね。
③条文を引いたページは「グシャッ」とする
これは資格学校の法規の講義でとある講師の方に教わった手法です。
実際に法令集を使うとわかりますが、法令集の紙面は非常に薄い紙で作られておりめくりづらいため、
思うようにページが開けないことが多々あります。
そこで、紙面をわざと「グシャッ」としてシワシワにすることで、断然めくりやすくなります。
過去問を解いて引いた条文のページは必ず「グシャッ」としておくことで、
次に同じページを引きたいときにスムーズに開けますし、
「あ、このページは開いたことがあるな」という証拠にもなります。
私の法令集はグシャグシャです。笑
自分だけの法令集が完成していく
勉強の過程で以上のような作業の繰り返しを経て、自分だけの法令集が完成していきます。
そうすると自然と、法令集を引かなくても解ける問題が多くなってくるのです。
それが法規の勉強のポイントのひとつでもあります。
まとめ
本記事では法令集の線引きについて、その目的や7つの極意について解説しました。
法規は学科試験における得点源となる科目であり、最重要科目です。
自分だけの相棒=法令集を育てるため、参考にしていただければ幸いです。