【現役ゼネコン社員が解説】施工管理(現場監督)ってどんな仕事?きついの?

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こんにちは、ぱぱけん (@yi_ki411) です。

悩んでいる人

施工管理ってどんな仕事をしているの?
きついって聞くけど、実際のところどうなの?

そんな疑問をお持ちの方に向けて、施工管理経験10年以上現役ゼネコン社員が解説します。

目次

施工管理とは?

施工管理とは、設計者が作成した設計図書をもとに建物を創り上げる立場であり、工事現場において工事に関するあらゆる事項を管理・指揮・監督する仕事です。

施工管理者は主に以下のような使命を背負い、日々の業務をこなしていきます。

・合理的な工事計画を策定し、それを実行すること
・工事を決められた工期内に完了させること
・高品質な建物を顧客へ引き渡すこと
・決められた予算の中で工事を利益を創出すること
・現場の安全管理を徹底し、事故を起こさないこと

施工管理の仕事内容

施工管理者は建物を造るための「指揮官」であり、作業員(職人)ではありません

実際に作業をするのは一流の職人さん達であり、職人さん達の仕事が安全にスムーズに進むようにするのが施工管理者の仕事です。

5大管理(QCDSE)

工事現場では5大管理と言われる5つの管理があり、頭文字をとりQCDSEと言われます。
ひとつずつ内容を解説していきます。

Q:品質管理(Quality)

設計図書に記載されている通りの品質が確保されるよう管理することです。

設計図書には、建物に使用する材料の材質強度寸法などが指定されています。

例えば、建物の構造体になる鉄骨の材質や強度が構造図(=設計図書の一部)に指定されているものより弱いものだったとしたら大問題ですよね。

そんなことにならないように、工場検査に出向いたり、現場に搬入された時点で受入検査を行ったりします。もちろん、その材料を使用して施工される過程においても記録表を作成したり記録写真を撮影したり検査を行ったりとさまざまな品質管理を行います。

また、物と物の取り合いである「納まり」の確認も品質管理の一部です。納まりを誤ると漏水したり異音がしたりと建物運用時に重大な問題を引き起こす原因になります。このような納まりの確認は机上の図面での管理だけではなく、現場で実際に現物を目視確認することが大事です。

C:原価管理(Cost)

工事は施工管理者だけではできません。「ひと」と「もの」を調達する必要があります。

ひと」の調達に際しては労務費人件費といった費用がかかります。

もの」の調達には材料費がかかります。

このような費用の積み重ねが工事費(工事原価)となるわけです。

契約形態にもよりますが、ほとんどの建設工事では事前に契約金額(工事請負金額)が決まっており、それが工事の予算となります。施工管理者は企業の一員として、少しでも多くの利益を創出することが求められます。

そのためにできるだけ少ない「ひと」で、できるだけ安い「もの」を調達し、工事を進めていきたいわけです。

このような管理を行うことを原価管理といいます。

施工計画を見直すことで工事原価を下げられることもあります。

D:工程管理(Delivery)

工事はあらかじめ工期が決められています。その工期内に工事を完了させるよう管理することを工程管理と言います。

工程管理には1日単位の細かな管理から、工事着工から竣工までの全体進捗を確認するという管理もあります。

発注者や設計者、作業員など工事にかかわるすべての人と工程を共有し、効率よく工事を進めるために、主に以下のような工程表を作成します。

週間工程表 
月間工程表
全体工程表

S:安全管理(Safety)

「安全第一」という言葉をよく聞くと思いますが、言葉通り、工事現場では安全が最も重要です。

現場に従事する作業員が怪我なく安全に作業を進められるよう、作業場の安全確保の確認や、安全意識向上のための活動を行ったりします。

安全を疎かにし事故が起こってしまえば、工事がストップし工期が遅れ、顧客の信頼を失墜に繋がります
大事故ともなれば社会的な信頼まで失うこととなり、企業価値にも影響を及ぼします

安全で事故がないことが、工事を滞りなく進める大前提になります。

E:環境管理(Environment)

昔はこの「環境管理」という言葉はなく、Eを除いた4大管理でした。

しかし近年は世界中で環境保全に対する声が高まっており、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行う企業が多くなっています。そのような背景により、工事現場でも環境に対する対策を講じるようになっています。

特に工事現場では多量の産業廃棄物が発生したり、騒音や振動、粉塵などといった周辺環境に及ぼす影響も大きいという特色があります。
現場における環境管理として、以下の3つの管理を行います。

自然環境の保全
 工事による環境汚染(空気汚染、土壌汚染、水質汚染など)を生じないこと
周辺環境への配慮
 工事による騒音、振動、粉塵、臭気などをなくすことあるいは極力すくなくすること
職場環境
 工事にかかわる作業員の働く環境を良好なものにすること

施工管理はきつい?「やめとけ」と言われる理由は?

建設業は昔から3K(きつい・汚い・危険)と言われてきました。

暑い夏の日でも寒い冬の日でも体を使う体力仕事で、埃や泥にまみれ、常に危険と隣り合わせのイメージが強いのです。

そのため、働きたいと思う人も年々少なくなっており、人手不足が加速している状況です。

施工管理がきついと言われる理由

施工管理がきついと言われるのは以下のような理由があります。

労働時間がどうしても長くなる

日中は現場監督として現場を歩き回り、現場作業が終わってからようやく事務所に戻って事務作業にとりかかることになります。もちろん日中出ずっぱりである必要はないのですが、段取りが悪かったりトラブルが生じたりするとどうしても長時間労働になりがちです。

休みが少ない

工期に縛られている以上、少しでも工事を進めるために土日も作業している現場も少なくありません。工期が遅れていれば、24時間体制で動くような現場もあります。必然的に施工管理職は休みが少なくなってしまいます。

少なからず体力仕事である

施工管理は椅子に座っているだけでは仕事になりません。暑い夏の日でも長袖長ズボンでヘルメットをかぶり、現場を歩き回って階段を登り降りする…これを毎日続けるわけですから、体力的な疲労が大きい仕事といえます。

職人さん相手のコミュニケーション

施工管理の仕事は現場の職人さんと日々コミュニケーションをとらないとうまくいきません。中には親方気質の厳しい職人さんがいたりしますが、それでも現場監督として指示をしたり時には安全面で注意をしたりしなければいけません。若いうちは逆に怒鳴られることもあります。こういったやりとりが精神的にきついと感じる方も少なくないです。

専門性が高い

建設業は専門用語にあふれており、施工管理の新入社員のうちはわからない単語が飛び交っていて戸惑うと思います。

また、経験則からでしか導き出せないような判断や結論に迫られる場面も多いです。

建築は経験工学です。一流の施工管理者になるためには長い経験を積む必要があり、それまでの過程で挫折してしまう方も少なくありません。

とにかくやることが多い

QCDSEの話をしましたが、施工管理の仕事は単純にやることが多いです。

そしてそれに対して整備・処理しなければならない書類が多いです。検査記録や記録写真などの品質書類、見積や請求書などの原価関連の書類、工程表、安全書類、環境面ではマニフェストなど、とにかく広範囲な書類を捌かなければなりません

とは言うものの…どんどん働きやすくなってきている!

施工管理がきつい理由を解説しましたが、私が施工管理職として入社した約10年前から比べれば、格段に改善されてきており働きやすくなってきていると感じます。

働き方改革関連法への対応

建設業全体で、働き方改革への対応の動きが強まっており、現場稼働を週休2日とする事例も多くなってきました。

働き方改革に対応するためには工事工期への影響が避けられず、発注者側の理解はもちろんのこと、建設業の昔からの慣習を変えていかなければならないのでまだまだ時間はかかるでしょう。ですが確実に変わってきています

建設業におけるIT化の発達

ここ10年で建設業におけるIT化が急加速しており、施工管理の働き方が大きく変わってきています

・iPadに図面を保管することで紙での出力が減り、図面を持ち歩く必要もなくなった
・工事調整用や搬出入車両管理などのアプリの開発
・各種の品質管理用のアプリの開発
・BIMの発達によって3次元的な管理が可能になった

など、まだまだこれからもIT化が進んでいくと思われます。今後10年もますます施工管理の働く環境が向上していくのではないでしょうか。

きつい分、やりがいや達成感が大きい

ゼネコンが造るような建物は単品生産であり、同じものはありません。

何百人、何千人という関係者の知恵や力を結集して唯一無二のの建物を完成させる

きついからこそ、竣工した時の感動は大きなものになります。

それこそが施工管理のやりがいです。

施工管理が向いているのはどんな人?

施工管理の仕事に向いているのはどんな人でしょうか。

リーダーシップのある人

施工管理は現場を指揮・監督する立場です。数百人の職人さんを相手に現場の旗振りをしなければなりません。リーダーシップを発揮できれば仕事も円滑に進みやすくなるでしょう。

コミュニケーション能力のある人

施工管理の仕事は多くの立場の方と接します。発注者、設計者、現場の作業員(職人さん)、諸官庁や役所の担当者、近隣の方々など多種多様です。あらゆる場面でコミュニケーション能力が求められます。

危機管理意識の高い人

現場での安全を確保するためには、常に危機管理意識を持たなければいけません。妥協したり油断したりしたときにこそ、事故が生じやすいのです。

計画性のある行動がとれる人

工事は計画が命です。1日先、1週間先、1か月先、1年先の工事を見据える必要があります。計画性のある人や計画をするのが好きな人は施工管理に向いているといえます。

施工管理者が取得すべき資格(建築編)

建築工事の施工管理者が取得すべき資格仕事に活かせる資格をご紹介します。

施工管理技士

国土交通大臣が認定する国家資格です。
現場の主任技術者または監理技術者の資格を満たすために必要な資格であり、施工管理に携わる方は是非取得したい資格です。
施工管理技士には以下の種類があり、それぞれ1級2級の区分があります。

・建築施工管理技士
・電気工事施工管理技士
・管工事施工管理技士
・土木工事施工管理技士
・造園施工管理技士
・電気通信施工管理技士
・建設機械施工技士

鉄骨工事管理責任者

建築鉄骨品質管理機構」が認定する資格です。

建築鉄骨工事における鉄骨製作及び現場工事の管理を適正に行うことができ、指導ができると認められる者として認定されます。

講習と筆記試験を受験し合格する必要がありますが、難易度はそこまで高くないので積極的に取得するべき資格です。

免震部建築施工監理技術者

一般社団法人 日本免震構造協会」が認定する資格です。

免震工事に関わる施工計画の立案、品質管理、施工管理を適正に行うことができる者として認定されます。

取得難易度は高くないので、免震工事に携わる可能性のある方はぜひ取得しましょう

コンクリート技士、コンクリート主任技士

公益社団法人 日本コンクリート工学会」が認定する資格です。

コンクリート技士はコンクリートの製造、施工、検査、管理などの技術的業務を実施する能力がある者として認定されます。上位資格のコンクリート主任技士はコンクリート技士の能力に加え、研究および指導などを実施する能力のある高度な技術をもった技術者とされています。

建設工事においてコンクリートのない工事はほとんどありません施工管理の仕事をしている限りは必ずコンクリートの施工に携わることになります。ですので、取得して損はない資格です。

コンクリート技士の試験は決して簡単な内容ではなく、マニアックな問題もあるのでしっかりと対策が必要です。コンクリート主任技士はさらに難易度が高く専門的な内容になるので難関資格といえます。

施工管理であればコンクリート技士だけでも取得できればいいと思います。

一級建築士

国土交通大臣が認定する国家資格で、建築業界では最高位かつ最難関の資格のひとつです。

施工管理技士が施工に特化した資格である一方、建築士は建築物の設計業務、監理業務が可能になる資格です。

施工管理職に必須ではありませんが、設計のことを理解しているのとそうでないのとではやはり差があります。ですので、建築士と施工管理技士を両方取得することをおすすめします。

一級建築士については別記事で詳しく解説していますのでぜひ読んでみて下さい。

まとめ

本記事では施工管理の仕事内容、きついと言われる理由や取得すべき資格について解説しました。
きついと言われる施工管理の仕事ですが、着実に働く環境は向上していますし、大きなやりがいを感じられる仕事です。建設業界や施工管理職に興味がある方はぜひ就職や転職を考えてみてはいかがでしょうか。

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